- 作者: 中島京子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/12/04
- メディア: 文庫
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賞を取ったからといって読むわけではないのだけれど、母の積読のなかにあったのでもらってきてあった。
戦前戦中と女中さんだった女性の回顧メモ形式で、中途半端に終わると見せかけてちゃんと現代につながっていた。
戦中に生きた人たちが実際の戦況にくらかったのは、今原発の状況をよく知らない私たちと同じだろうし、誰もが自分の中のドラマを誰かに聞いてほしい、知ってほしいと思う反面自分だけの宝物(よいものばかりとは限らないけれど)を誰にも見せたくないと思いながらこの世を去るのだろう。そして残されたものは「聞きたいことは何も聞けていない」と思うのだろう。
母は女中さんというよりは女中さんのいる家の娘だったし、年頃は奉公していた家の子供の同年代だと思う。
でもやっぱり主人公の女性に戦争に娘時代を奪われた母の姿を重ねてしまった。