ガス冷蔵庫からにゃんにゃかにゃーん

猫(飼ってない)とか身の回りのこと

エンカウンター(半フィクション)

地元駅のウェンディーズでカウンター席に座った。
テーブルを囲むように丸いスツールが配置され、テーブルの真ん中には向こうが見えないように仕切りが立っている。
隣との距離はいささか近い感じがするが、周りの人の顔や目線が気にならないように配慮されている。


ハンバーガーとサラダ、それにスープを買って早めの夕食を取っていたら、浅黒い肌をした外国人男性の二人連れが階段を上がってきて僕の向こう側に座った。
人が何を食べようと関心はないのだが、間仕切りの下にある隙間から鮮やかな緑が眼に入った。
なんだろうとつい少し頭を下げて向こうをみると、緑の正体はクリームソーダだった。


(子供のとき以来飲んでないなあ)と、そのまま見入ってしまっていたら、向こう側の男性と目があった。
視線を感じたのだろう、いぶかしげにこちらを見ている。
僕は外国人に対して、特に好意も敵意ももっていない。手の届く距離ではあるが彼の夕食を奪うつもりもない。
わずかな逡巡の後、僕はそのときの僕にできた唯一のこと「スマイル」をした。
一瞬(しまった)という表情を浮かべて、彼は姿勢を戻し、仲間と日本語でない言葉を話しながら食事を始めた。僕の「なんでもない気持ち」は通じただろうか。

僕と彼とのエンカウンター。ちょっと気まずいアイコンタクト。